石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(16)初戦の収穫
今シーズンの初戦、近大との戦いは31-7でファイターズの勝利。順当といえば順当であり、課題山積といえばその通りである。
なんせ相手は、今季から1部に復帰したばかりのチームであり、現在のチーム力を計る情報がほとんどない。それでも、かつては毎年のように厳しい戦いを繰り広げた強敵であり、チーム力が十分に整わない時期でも、必ず突出したタレントを有して個人技で攻め込まれたことが何度もある。
相手はどんな戦力を整え、どんな戦いを仕掛けてくるのか。情報が少ない相手に、ファイターズの諸君がどんな戦いをしてくれるのか。チームはどの程度まで仕上がっているのか。卒業生が抜けた穴を埋めるのはどんなメンバーか。興味津々でキックオフを待った。
コイントスに勝ったファイターズが守備から入り、近大の攻撃を受けて立つ。
ところが、相手は自陣25ヤードからは怖めず臆せず、思い切ったパスプレーで攻め込んでくる。合間に取り入れるランプレーとの組み合わせがよく、あれよあれよという間に2度もダウンを更新。気がつけばファイターズのゴール前、27ヤードまで攻め込まれている。ここはLB海崎の強烈なタックルなどで食い止め、相手のフィールドゴールの失敗にも助けられて攻守交代。
代わってファイターズの攻撃は自陣22ヤードから。近大の歯切れの良い攻撃に浮き足立っていたチームだったが、この試合で先発した奥野が軽業師のような動きで突破口を開く。自身のキーププレーを中心に、RB山口、中村のランプレーで陣地を進め、着実にダウンを更新。最後はゴール前3ヤードからRB山口がパワーで走り込んでTD。K安藤のキックも決まって7-0とリードする。
2Qに入ってすぐ、今度はRB山口が個人技で突破口を開く。自陣42ヤード付近でボールを受け取った瞬間から一気に加速、相手DBを次々と交わし、抜き去って58ヤードを独走。見事にTDに持ち込んだ。まさに個人技。スピードをほとんど落とさないままにカットを切るから、相手守備陣も捕らえようがない。昨シーズンまでは、相手を抜き去っても、なかなかタッチダウンまでは持ち込めなかったが、4年生になった今年はひと味違う。よりパワーアップした走りで、ファンの声援に応えた。
試合後のインタビューで「僕がチームを勝たせます」と力強く言い切っていたが、本当に頼もしいエースである。
このプレーで守備陣も落ち着きを取り戻し、14-0で前半を終了。3Q半ばにはK安藤が47ヤードのFGを決めて17-0。さらに4Qの初めにはファイターズの蹴ったパントを相手レシーバーがファンブル、ゴール内に転がったボールをパントチームの弓岡が抑え、ファンブルリカバーで7点を追加する。
ここでようやく、ファイターズも交代メンバーをグラウンドに送り出す余裕が生まれた。しかし、当初から試合に出ていたメンバーは落ち着いているが、交代メンバーはそうはいかない。相手のパスプレーが止まらず、ファイターズ守備陣にパーソナルファールの反則もあって、簡単にゴール前までボールを持ち込まれ、あれよあれよという間にTD。
結局、終わってみれば31-7。試合には勝ったが、もう一つすっきりしない内容だった。なぜか。理由はいくつかある。まずはパスを思い切って投げ込んできた近大の攻撃を守備陣が止めきれなかったこと。攻守ともに不必要な反則が続出し、せっかくのリズムを自ら壊していたこと。オフェンスラインが割られ、QBやボールキャリアが孤立する場面が何度も続いたこと。先発メンバーと交代メンバーとの差が大きく、せっかくのプレーコールが得点に結びつかなかったこと。物足りなかった点を挙げていけば、片手の指では足りそうにない。
それもこれも「練習でできていないことは試合でもできない」(大村コーチ)ということではないか。それが明確になったことが、この日一番の収穫であろう。
上級生はもちろん、下級生にも僕が期待していた通りに動けていた選手は少なくない。チャンスをつかもうと必死にボールに食らいつく姿も見えた。ファイターズのパントを相手がファンブルしたときのキッキングチームの基本に忠実な動きも素晴らしかった。全員がそれぞれの役割に集中していたからこそ、ご褒美のようなTDが転がり込んできたのだ。
忘れてならないのは、後半、試合の行方が見えてから交代メンバーとして登場したフレッシュマンの物怖じしない動きも魅力的だった。初登場でインターセプトを披露したLBの北川をはじめ、同じLBの赤倉、DLの青木、DBの竹原らは今後、出場機会が増えるにつれてその潜在能力を発揮してくれるに違いない。それもまたこの試合の収穫である。
マイナスの収穫は確実につぶし、プラスの収穫は大いに伸ばす。次の試合は、そんなところに注目して応援したい。
なんせ相手は、今季から1部に復帰したばかりのチームであり、現在のチーム力を計る情報がほとんどない。それでも、かつては毎年のように厳しい戦いを繰り広げた強敵であり、チーム力が十分に整わない時期でも、必ず突出したタレントを有して個人技で攻め込まれたことが何度もある。
相手はどんな戦力を整え、どんな戦いを仕掛けてくるのか。情報が少ない相手に、ファイターズの諸君がどんな戦いをしてくれるのか。チームはどの程度まで仕上がっているのか。卒業生が抜けた穴を埋めるのはどんなメンバーか。興味津々でキックオフを待った。
コイントスに勝ったファイターズが守備から入り、近大の攻撃を受けて立つ。
ところが、相手は自陣25ヤードからは怖めず臆せず、思い切ったパスプレーで攻め込んでくる。合間に取り入れるランプレーとの組み合わせがよく、あれよあれよという間に2度もダウンを更新。気がつけばファイターズのゴール前、27ヤードまで攻め込まれている。ここはLB海崎の強烈なタックルなどで食い止め、相手のフィールドゴールの失敗にも助けられて攻守交代。
代わってファイターズの攻撃は自陣22ヤードから。近大の歯切れの良い攻撃に浮き足立っていたチームだったが、この試合で先発した奥野が軽業師のような動きで突破口を開く。自身のキーププレーを中心に、RB山口、中村のランプレーで陣地を進め、着実にダウンを更新。最後はゴール前3ヤードからRB山口がパワーで走り込んでTD。K安藤のキックも決まって7-0とリードする。
2Qに入ってすぐ、今度はRB山口が個人技で突破口を開く。自陣42ヤード付近でボールを受け取った瞬間から一気に加速、相手DBを次々と交わし、抜き去って58ヤードを独走。見事にTDに持ち込んだ。まさに個人技。スピードをほとんど落とさないままにカットを切るから、相手守備陣も捕らえようがない。昨シーズンまでは、相手を抜き去っても、なかなかタッチダウンまでは持ち込めなかったが、4年生になった今年はひと味違う。よりパワーアップした走りで、ファンの声援に応えた。
試合後のインタビューで「僕がチームを勝たせます」と力強く言い切っていたが、本当に頼もしいエースである。
このプレーで守備陣も落ち着きを取り戻し、14-0で前半を終了。3Q半ばにはK安藤が47ヤードのFGを決めて17-0。さらに4Qの初めにはファイターズの蹴ったパントを相手レシーバーがファンブル、ゴール内に転がったボールをパントチームの弓岡が抑え、ファンブルリカバーで7点を追加する。
ここでようやく、ファイターズも交代メンバーをグラウンドに送り出す余裕が生まれた。しかし、当初から試合に出ていたメンバーは落ち着いているが、交代メンバーはそうはいかない。相手のパスプレーが止まらず、ファイターズ守備陣にパーソナルファールの反則もあって、簡単にゴール前までボールを持ち込まれ、あれよあれよという間にTD。
結局、終わってみれば31-7。試合には勝ったが、もう一つすっきりしない内容だった。なぜか。理由はいくつかある。まずはパスを思い切って投げ込んできた近大の攻撃を守備陣が止めきれなかったこと。攻守ともに不必要な反則が続出し、せっかくのリズムを自ら壊していたこと。オフェンスラインが割られ、QBやボールキャリアが孤立する場面が何度も続いたこと。先発メンバーと交代メンバーとの差が大きく、せっかくのプレーコールが得点に結びつかなかったこと。物足りなかった点を挙げていけば、片手の指では足りそうにない。
それもこれも「練習でできていないことは試合でもできない」(大村コーチ)ということではないか。それが明確になったことが、この日一番の収穫であろう。
上級生はもちろん、下級生にも僕が期待していた通りに動けていた選手は少なくない。チャンスをつかもうと必死にボールに食らいつく姿も見えた。ファイターズのパントを相手がファンブルしたときのキッキングチームの基本に忠実な動きも素晴らしかった。全員がそれぞれの役割に集中していたからこそ、ご褒美のようなTDが転がり込んできたのだ。
忘れてならないのは、後半、試合の行方が見えてから交代メンバーとして登場したフレッシュマンの物怖じしない動きも魅力的だった。初登場でインターセプトを披露したLBの北川をはじめ、同じLBの赤倉、DLの青木、DBの竹原らは今後、出場機会が増えるにつれてその潜在能力を発揮してくれるに違いない。それもまたこの試合の収穫である。
マイナスの収穫は確実につぶし、プラスの収穫は大いに伸ばす。次の試合は、そんなところに注目して応援したい。
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