石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(6)3度目の記者会見
日本大学との定期戦で起きた相手選手による反則行為に関して、ファイターズは26日午後、学内で記者会見を開いた。10日、17日に続く3度目の会見である。僕も前2回に引き続いて出席し、しっかりとチームの主張を聞かせていただいた。
これまでの2回については、チームが自制に自制を重ね、慎重に言葉を選びながら進めておられることもあり、僕がホームページにうかつなことを書いて迷惑を及ぼしては申し訳ないという気持ちから、この件に関してはあえて触れないようにしてきた。
しかし、3度目となる今回の会見では「現段階では日大(部)の見解には強い疑念を抱かざるを得ず、これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高いと考えます」として、今後の方針を明確にされた。
具体的には?日大(部)との試合については、選手の安心・安全を担保することができないと判断し、定期戦は十分な信頼関係を取り戻すまで中止とします?学校法人日本大学による第三者委員会、関東学生アメリカンフットボール連盟による客観的な真相究明を強く要望します。真相究明にあたっては全面的に協力いたします?最終的には捜査機関の捜査によって真相が究明されることを強く希望いたします。捜査には全面的に協力いたします?被害を受けた選手及びそのご家族の支援を継続していきます?日大の当該選手およびそのご家族に対しても可能な限り支援の可能性を模索していきます……という5項目の宣言である。
ここまで言い切るまでに、チームとして相当深い考えを巡らされたことは想像に難くない。もちろん、あの3度の反則場面を記録した録画を何度も何度もチェックし、相手監督やコーチの記者会見などでの発言と、ファイターズからの2度にわたる書面での申し入れに対する相手チームの回答との食い違いも解明されたはずだ。反則行為に手を染めた選手から直接聞いた謝罪の言葉と、そのときの真摯な姿勢も、チームの心証を形成する上で大きな役割を果たしたに違いない。弁護士の同席があったとはいえ、彼が独力で行った記者会見での発言も同様である。あの確信を持った発言と、次の日に相手チームの監督やコーチが口にされた言葉のどちらが信用できるのか。ファイターズの担当者でなくても、テレビを見ていたすべての人が直ちに正解を出したは
ずだ。
そうした諸々のことを縦、横、斜めからチェックし、「これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高い」との結論を導き出したうえで決定された5項目の方針である。その方針に、僕は全面的に賛同する。
一連の問題がメディアで広く報じられて以降、遠く離れた友人たちから次々と連絡があった。それもメールではなく、携帯電話である。直接、僕と話したかったのだろう。チームや被害を受けた選手を激励してもらいたいという人がいれば、記者会見の進行を中心にチームの対応の素晴らしさを称賛する人もいた。相手チームの無責任な対応ぶりについて、ぜひ一言述べたい、といって内部情報を提供してくれた人もいた。
朝日新聞社の元同僚は「関学の主張には裏付けがあることを私たちも確認した。記者会見を開いて、冷静に問題点を指摘し、相手に明確な回答を求める姿勢も素晴らしい」とファイターズの対応を褒めてくれた。
「問題の場面を写し出したビデオがすべてを物語っている。どんなに言葉で言いつくろっても、このビデオがある限り言い訳にもならない。もはやビデオがなかった時代の感覚では通用しないんです」と口を開き、自身がこれまでに見聞した「暴力によって人を支配しようとする指導者」を批判し続けた人もいる。
もちろん、今回の問題を深刻に捉えている人も多かった。「このままではアメフットの未来が危うい」「ここはファイターズだけでなく、アメフット界のリーダーたちが問題を直視し、リーダーに課せられた責任を果たすべきときだ」といった話を、延々と述べてくれた友人もいる。
同感である。ことは日大と関学の争いにとどまらず、日本におけるアメフットの未来に関係するのである。
そのためにはファイターズが3度の記者会見で強調している通り、真相を究明することが欠かせない。真相の究明こそが、アメフット再生への最初の一歩になる。
そのうえでいま、注目しているのは大学アメリカンフットボール界の動きである。今回の問題をきっかけに東大や法政、立教など今後日大との試合を企画していた6校すべてが「安全が担保されていないこと」などを理由に対戦を辞退した。
日大と同じリーグに加盟している15大学は、連盟に第三者委員会を設立して、ことの真相を究明するよう求めている。
スポーツ庁の長官も動き始めた。日本アメリカンフットボール協会の会長と日本社会人アメリカンフットボール連盟の理事長も18日、相次いで声明を発表し「今回の問題は、絶対に許されるべきものではなく、極めて重く受け止めています」「このような事象が繰り返されないよう真相究明を断固要請していくとともに、アメリカンフットボール界への信頼回復に努めてまいります」などと述べている。
この機運を生かしたい。いや、生かさなければならない。アメフットの未来を切り開くためには、大学アメフット界が自ら立ち上がり、課外活動、課外教育としてのフットボールの普及、発展のために、組織の在り方から審判の技術向上まで、さまざまな分野に潜んでいるであろう問題点をあぶり出さなければならない。
問題点を直視し、改善・改革していくことによって、初めてアメフットの未来が担保される。僕はそれを信じている。
これまでの2回については、チームが自制に自制を重ね、慎重に言葉を選びながら進めておられることもあり、僕がホームページにうかつなことを書いて迷惑を及ぼしては申し訳ないという気持ちから、この件に関してはあえて触れないようにしてきた。
しかし、3度目となる今回の会見では「現段階では日大(部)の見解には強い疑念を抱かざるを得ず、これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高いと考えます」として、今後の方針を明確にされた。
具体的には?日大(部)との試合については、選手の安心・安全を担保することができないと判断し、定期戦は十分な信頼関係を取り戻すまで中止とします?学校法人日本大学による第三者委員会、関東学生アメリカンフットボール連盟による客観的な真相究明を強く要望します。真相究明にあたっては全面的に協力いたします?最終的には捜査機関の捜査によって真相が究明されることを強く希望いたします。捜査には全面的に協力いたします?被害を受けた選手及びそのご家族の支援を継続していきます?日大の当該選手およびそのご家族に対しても可能な限り支援の可能性を模索していきます……という5項目の宣言である。
ここまで言い切るまでに、チームとして相当深い考えを巡らされたことは想像に難くない。もちろん、あの3度の反則場面を記録した録画を何度も何度もチェックし、相手監督やコーチの記者会見などでの発言と、ファイターズからの2度にわたる書面での申し入れに対する相手チームの回答との食い違いも解明されたはずだ。反則行為に手を染めた選手から直接聞いた謝罪の言葉と、そのときの真摯な姿勢も、チームの心証を形成する上で大きな役割を果たしたに違いない。弁護士の同席があったとはいえ、彼が独力で行った記者会見での発言も同様である。あの確信を持った発言と、次の日に相手チームの監督やコーチが口にされた言葉のどちらが信用できるのか。ファイターズの担当者でなくても、テレビを見ていたすべての人が直ちに正解を出したは
ずだ。
そうした諸々のことを縦、横、斜めからチェックし、「これ以上の問答は平行線をたどる可能性が高い」との結論を導き出したうえで決定された5項目の方針である。その方針に、僕は全面的に賛同する。
一連の問題がメディアで広く報じられて以降、遠く離れた友人たちから次々と連絡があった。それもメールではなく、携帯電話である。直接、僕と話したかったのだろう。チームや被害を受けた選手を激励してもらいたいという人がいれば、記者会見の進行を中心にチームの対応の素晴らしさを称賛する人もいた。相手チームの無責任な対応ぶりについて、ぜひ一言述べたい、といって内部情報を提供してくれた人もいた。
朝日新聞社の元同僚は「関学の主張には裏付けがあることを私たちも確認した。記者会見を開いて、冷静に問題点を指摘し、相手に明確な回答を求める姿勢も素晴らしい」とファイターズの対応を褒めてくれた。
「問題の場面を写し出したビデオがすべてを物語っている。どんなに言葉で言いつくろっても、このビデオがある限り言い訳にもならない。もはやビデオがなかった時代の感覚では通用しないんです」と口を開き、自身がこれまでに見聞した「暴力によって人を支配しようとする指導者」を批判し続けた人もいる。
もちろん、今回の問題を深刻に捉えている人も多かった。「このままではアメフットの未来が危うい」「ここはファイターズだけでなく、アメフット界のリーダーたちが問題を直視し、リーダーに課せられた責任を果たすべきときだ」といった話を、延々と述べてくれた友人もいる。
同感である。ことは日大と関学の争いにとどまらず、日本におけるアメフットの未来に関係するのである。
そのためにはファイターズが3度の記者会見で強調している通り、真相を究明することが欠かせない。真相の究明こそが、アメフット再生への最初の一歩になる。
そのうえでいま、注目しているのは大学アメリカンフットボール界の動きである。今回の問題をきっかけに東大や法政、立教など今後日大との試合を企画していた6校すべてが「安全が担保されていないこと」などを理由に対戦を辞退した。
日大と同じリーグに加盟している15大学は、連盟に第三者委員会を設立して、ことの真相を究明するよう求めている。
スポーツ庁の長官も動き始めた。日本アメリカンフットボール協会の会長と日本社会人アメリカンフットボール連盟の理事長も18日、相次いで声明を発表し「今回の問題は、絶対に許されるべきものではなく、極めて重く受け止めています」「このような事象が繰り返されないよう真相究明を断固要請していくとともに、アメリカンフットボール界への信頼回復に努めてまいります」などと述べている。
この機運を生かしたい。いや、生かさなければならない。アメフットの未来を切り開くためには、大学アメフット界が自ら立ち上がり、課外活動、課外教育としてのフットボールの普及、発展のために、組織の在り方から審判の技術向上まで、さまざまな分野に潜んでいるであろう問題点をあぶり出さなければならない。
問題点を直視し、改善・改革していくことによって、初めてアメフットの未来が担保される。僕はそれを信じている。
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