石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(15)愛されるチーム
大学はいま前期の試験中。15日からスタートし、学生諸君は暑さにも負けずに机に向かっている。当然、試験前からチームとしての練習は休みである。もちろん、個人個人は試験の合間を縫って、筋トレとか走りモノと呼ばれるトレーニングに取り組んでいる。単位の取得が進んでいる上級生はミーティングや個人の課題克服にも余念がない。
けれども、チームが全体で取り組む練習は休みだから、このコラムからもまた、グラウンドの消息が途絶えている。
代わりに、ファイターズを取り巻くあれやこれやの話題を断片的にお伝えしている。小野ディレクターの講演会、コーチやスタッフとしてチームを支える「大人の力」、リクルート担当者の眼力、卒業生からの伝言……。今週もまた、先日、甲東園の居酒屋で開かれた「アメフト探検会」の様子とそこで抱いた僕なりの感慨をお伝えしよう。
「アメフト探検会」のことは、このコラムでも毎年のように取り上げているから、古くからの読者にはおなじみだろう。関西学院大学の先生たち限定のサークルで、ファイターズとその部員をこよなく愛される先生方が多数参加されている。活動の詳細についてはまったく知らないが、断片的に聞こえてくるところでは「年に一度、総会を開き、ファイターズをサカナに大いに語り、愉快に飲む」のが目的の集まりらしい。
参加者の中には「年間50回はファイターズのビデオを見る。ゼミ生にもそれを見せて授業を進める」と豪語される先生がいるし、もう少し控えめに「年に一度は必ず試合会場に出掛けて応援する。今季は少なくとも3回は応援に行く」「毎年一人はファイターズの部員をゼミに受け入れる」といった個人的な目標を立て、それを実行されている先生もいる。自己紹介で「ヨメさんがファイターズファンなので、それにつられて僕もファンになりました」といって拍手を浴びた新参の先生もいる。
先日の集まりには、先生方が十数人、チームからは小野ディレクターや大村アシスタントヘッドコーチ、神田コーチが参加され、大いに盛り上がった。僕も、例年のようにゲストとしてお招きを頂き、酒も飲めないのに、大いに語り合った。
「野原コーチは僕のゼミの卒業生」と毎年自慢される先生は「今年は○○君と○○君がいます。二人ともよく頑張っていますよ」と学生たちが可愛くて仕方がないという口調で話される。別の先生もまた、対抗するように「今年僕のゼミを卒業したマネジャーの○○君は留年生だったけど、後輩たちに溶け込んで、よく頑張ってくれました」と自慢される。中には「ファイターズの諸君は就職活動でも実績を残してくれるから、ゼミの評判もよくなる」と言われた先生もいる。
こうしてファイターズの部員が部活を離れた勉学の場でも存在感を発揮し、卒業してからもなお先生方に強い印象を与えていることを知ると、聞いている方もなんだかうれしくなってくる。そして「ファイターズというのは、本当に多くの方に愛されているチームだなあ」と感慨を新たにする。
先生方の応援だけではない。例えば、僕のこのコラムにも毎週のように「いいね」のサインが集まる。少ない時でも150件、多いときには200件、300件を超す。いま主将を務めている井若君が1年生の時、学生会館の更衣室のドアに「足下のゴミ一つ拾えないような人間に何ができましょうか……」と書いて張り出した話を紹介したときには、たしか800件前後の「いいね」が集まった。
それは、僕の文章に対する「いいね」ではなく、そこで紹介しているファイターズというチームの在り方、たたずまいに対する「いいね」であると、僕は思っている。
試合に勝った、負けたということだけではなく、それを超えて、ファイターズの選手たちがどのようにして成長し、そのためにどんな努力をしているのか。部員のがんばりに監督やコーチ、スタッフとして関わる周囲の「大人たち」がどのようにして応えているのか。その指導を部員がどのように受け止め、成長の糧にしているのか。上級生下級生、関係なく、仲間同士はどのように励まし合い、高め合っているのか。
そうしたことを毎週のようにこのコラムを通じて問い掛け、チームの素顔を紹介していることに対する数多くの「いいね」。それはぼくの文章に対する評価というよりも、ファイターズという「毎年毎年、人を育てる。その営みを戦後一貫して続けてきた」組織に対する「いいね」であると理解しなければ、その本質を見失う。
逆にいえば、そういう組織に対して、数多くの「いいね」が集まるというところに、ファイターズの素晴らしさがある。これもまた、このチームが多くの方々に愛されているチームであることの証明であり、「アメフト探検会」の先生方に愛されていることにも通じる話である。
もう少し大きく言えば、今後、こういう組織が課外教育の主流になっていくことで、大学スポーツの一つの模範が形成されるのではないか。
ファイターズをこよなく愛される先生たちとの談笑の中でも、ファイターズが課外教育の王道を歩んでいると確認できた。それが愉快でならない。
けれども、チームが全体で取り組む練習は休みだから、このコラムからもまた、グラウンドの消息が途絶えている。
代わりに、ファイターズを取り巻くあれやこれやの話題を断片的にお伝えしている。小野ディレクターの講演会、コーチやスタッフとしてチームを支える「大人の力」、リクルート担当者の眼力、卒業生からの伝言……。今週もまた、先日、甲東園の居酒屋で開かれた「アメフト探検会」の様子とそこで抱いた僕なりの感慨をお伝えしよう。
「アメフト探検会」のことは、このコラムでも毎年のように取り上げているから、古くからの読者にはおなじみだろう。関西学院大学の先生たち限定のサークルで、ファイターズとその部員をこよなく愛される先生方が多数参加されている。活動の詳細についてはまったく知らないが、断片的に聞こえてくるところでは「年に一度、総会を開き、ファイターズをサカナに大いに語り、愉快に飲む」のが目的の集まりらしい。
参加者の中には「年間50回はファイターズのビデオを見る。ゼミ生にもそれを見せて授業を進める」と豪語される先生がいるし、もう少し控えめに「年に一度は必ず試合会場に出掛けて応援する。今季は少なくとも3回は応援に行く」「毎年一人はファイターズの部員をゼミに受け入れる」といった個人的な目標を立て、それを実行されている先生もいる。自己紹介で「ヨメさんがファイターズファンなので、それにつられて僕もファンになりました」といって拍手を浴びた新参の先生もいる。
先日の集まりには、先生方が十数人、チームからは小野ディレクターや大村アシスタントヘッドコーチ、神田コーチが参加され、大いに盛り上がった。僕も、例年のようにゲストとしてお招きを頂き、酒も飲めないのに、大いに語り合った。
「野原コーチは僕のゼミの卒業生」と毎年自慢される先生は「今年は○○君と○○君がいます。二人ともよく頑張っていますよ」と学生たちが可愛くて仕方がないという口調で話される。別の先生もまた、対抗するように「今年僕のゼミを卒業したマネジャーの○○君は留年生だったけど、後輩たちに溶け込んで、よく頑張ってくれました」と自慢される。中には「ファイターズの諸君は就職活動でも実績を残してくれるから、ゼミの評判もよくなる」と言われた先生もいる。
こうしてファイターズの部員が部活を離れた勉学の場でも存在感を発揮し、卒業してからもなお先生方に強い印象を与えていることを知ると、聞いている方もなんだかうれしくなってくる。そして「ファイターズというのは、本当に多くの方に愛されているチームだなあ」と感慨を新たにする。
先生方の応援だけではない。例えば、僕のこのコラムにも毎週のように「いいね」のサインが集まる。少ない時でも150件、多いときには200件、300件を超す。いま主将を務めている井若君が1年生の時、学生会館の更衣室のドアに「足下のゴミ一つ拾えないような人間に何ができましょうか……」と書いて張り出した話を紹介したときには、たしか800件前後の「いいね」が集まった。
それは、僕の文章に対する「いいね」ではなく、そこで紹介しているファイターズというチームの在り方、たたずまいに対する「いいね」であると、僕は思っている。
試合に勝った、負けたということだけではなく、それを超えて、ファイターズの選手たちがどのようにして成長し、そのためにどんな努力をしているのか。部員のがんばりに監督やコーチ、スタッフとして関わる周囲の「大人たち」がどのようにして応えているのか。その指導を部員がどのように受け止め、成長の糧にしているのか。上級生下級生、関係なく、仲間同士はどのように励まし合い、高め合っているのか。
そうしたことを毎週のようにこのコラムを通じて問い掛け、チームの素顔を紹介していることに対する数多くの「いいね」。それはぼくの文章に対する評価というよりも、ファイターズという「毎年毎年、人を育てる。その営みを戦後一貫して続けてきた」組織に対する「いいね」であると理解しなければ、その本質を見失う。
逆にいえば、そういう組織に対して、数多くの「いいね」が集まるというところに、ファイターズの素晴らしさがある。これもまた、このチームが多くの方々に愛されているチームであることの証明であり、「アメフト探検会」の先生方に愛されていることにも通じる話である。
もう少し大きく言えば、今後、こういう組織が課外教育の主流になっていくことで、大学スポーツの一つの模範が形成されるのではないか。
ファイターズをこよなく愛される先生たちとの談笑の中でも、ファイターズが課外教育の王道を歩んでいると確認できた。それが愉快でならない。
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