石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(10)開かれた組織
身辺多忙につき、しばらくコラムの更新が滞ってしまった。申し訳ない。
なんせ、今年の誕生日がくれば72歳になるというのに、今も現役の新聞記者であり、編集の責任者。和歌山県の南部限定の小さな新聞社だが、地域の占有率は6割から7割。全国紙を圧倒する読者に支えられている新聞だから、それなりの覚悟を持って働かなければならない。週に3本のコラムと1本の社説を書き、若い記者を育て、時には経営にも口出しする。当然、気の休まる時がない。
加えて週末には、母校の非常勤講師として「文章表現」の講座も担当している。昨年まではひとコマ20人のクラスだったが、今春からはふたコマに増え、学生も40人になった。授業の進め方も、スライドやパワーポイントを使う今時の手法ではなく、昔ながらの寺子屋方式。毎回、課題を出し、原稿用紙2枚、800字の文章を書かせる。
僕は帰宅後、それを添削し、講評を書き、点数を付ける。わずか40人と思われるかもしれないが、学生たちが本気で書いた文章である。添削し、講評を書く方も本気で受け止めなければならない。当然、それに費やす時間もエネルギーも半端ではない。
けれども、母校の後輩たちが少しでも文章を書く力を身に付けてくれれば、感受性を養い、思考力を育てる助けになれば、と思うと自宅から上ヶ原まで徒歩30分の坂道も苦にならない。毎週、授業の始まる20分も30分も前から教室に足を運ぶ。早めに来て、弁当を食べたり、お茶を飲んだりしている受講生との雑談が楽しくてならない。やっぱり大学の講師というより寺子屋のお師匠さんが似合っているのだろう。
そういう日常にあっても、友人からお遊びの誘いがあれば、喜んで出掛けていく。年齢を重ねると、新しい友人との交際は億劫になるが、その分、古くからの気の置けない仲間とのお遊びは楽しい。家族から白い目で見られても、徹夜でふらふらになっても遊び続ける。
加えて、6月はチームの主力がメキシコに出掛ける。このコラムのチェックやネットへのアップを担当してくれている小野ディレクターや石割デレクター補佐もそれに同行して留守になる。ここは早めの夏休みにしましょう、と悪魔がささやく。
そういう次第で更新が滞ってしまった。今週からは気分を一新してまた書き続けます。
本題に入る。開かれた組織ということである。
これまでも折に触れて書いてきたが、ファイターズほど外に向かって開かれた組織は珍しい。どの競技、種目を問わず、少なくとも全国のトップレベルで活動する組織は、基本的に勝利至上主義。当然、他チームの情報を入手することには懸命だが、自身の情報を公開することはほとんどない。とりわけアメフットのような戦略と戦術を駆使して勝負する競技においては、まずは「保秘」が最優先の課題になる。
ところがファイターズに関しては、その常識が当てはまらない。同じ関西学生リーグに属するチームとでも、合同練習をするし、シーズンオフに地方の大学が泊まりがけで練習に参加することも歓迎する。
シーズンオフには毎年、小野ディレクターや大村コーチらが試合のビデオを公開し、勝負の綾となったプレーの解説や、その戦術を取り入れた背景などを説明する講座も開いている。
学内から他の競技団体の部員がまとまって練習の見学に来ても、快く内情を披露するし、他競技の高校生が団体で見学に来ても、ていねいに応対する。練習の準備から進め方まで、参考になることはすべて持ち帰って下さい、そしてチームを強くして下さいというのだ。
どうして、こうしたオープンマインドなチームができたのか。
僕が出した答えは二つある。一つはフットボールという競技の魅力を広めるために、互いに切磋琢磨する環境を保証しよう、そのためには長い歴史を持ち、フットボールに関するいろんな知識を蓄えているファイターズがその知識を公開し、全体の底上げを図ろうという意図。もう一つは関西学院大学体育会の中でも、極めて優れた組織運営をしているノウハウを他の体育会メンバーにも公開することで、関西学院の課外活動のレベルアップを図ろうという目的。この二つがあって、他に類をみない「開かれた組織」が運営されているのだろう。
こうした「開かれた組織」を裏付けるのが毎年、朝日カルチャーセンターで開かれる小野ディレクターによる公開講座「フットボールの本当の魅力」。今年は8月26日午後7時から、阪急川西能勢口駅前の川西アステ6階アステホールで開かれる。今回はより広く一般の関学生にも参加してもらおうと、講師の特別な配慮により、関西学院の学生(学生証の提示が必要)を対象に「特別割引価格」が用意されている。
詳細は、下記、朝日カルチャーセンターのホームページを参考にして下さい。
https://www.asahiculture.jp/kawanishi/course/75384e9d-5946-b400-248f-5750e569c730
なんせ、今年の誕生日がくれば72歳になるというのに、今も現役の新聞記者であり、編集の責任者。和歌山県の南部限定の小さな新聞社だが、地域の占有率は6割から7割。全国紙を圧倒する読者に支えられている新聞だから、それなりの覚悟を持って働かなければならない。週に3本のコラムと1本の社説を書き、若い記者を育て、時には経営にも口出しする。当然、気の休まる時がない。
加えて週末には、母校の非常勤講師として「文章表現」の講座も担当している。昨年まではひとコマ20人のクラスだったが、今春からはふたコマに増え、学生も40人になった。授業の進め方も、スライドやパワーポイントを使う今時の手法ではなく、昔ながらの寺子屋方式。毎回、課題を出し、原稿用紙2枚、800字の文章を書かせる。
僕は帰宅後、それを添削し、講評を書き、点数を付ける。わずか40人と思われるかもしれないが、学生たちが本気で書いた文章である。添削し、講評を書く方も本気で受け止めなければならない。当然、それに費やす時間もエネルギーも半端ではない。
けれども、母校の後輩たちが少しでも文章を書く力を身に付けてくれれば、感受性を養い、思考力を育てる助けになれば、と思うと自宅から上ヶ原まで徒歩30分の坂道も苦にならない。毎週、授業の始まる20分も30分も前から教室に足を運ぶ。早めに来て、弁当を食べたり、お茶を飲んだりしている受講生との雑談が楽しくてならない。やっぱり大学の講師というより寺子屋のお師匠さんが似合っているのだろう。
そういう日常にあっても、友人からお遊びの誘いがあれば、喜んで出掛けていく。年齢を重ねると、新しい友人との交際は億劫になるが、その分、古くからの気の置けない仲間とのお遊びは楽しい。家族から白い目で見られても、徹夜でふらふらになっても遊び続ける。
加えて、6月はチームの主力がメキシコに出掛ける。このコラムのチェックやネットへのアップを担当してくれている小野ディレクターや石割デレクター補佐もそれに同行して留守になる。ここは早めの夏休みにしましょう、と悪魔がささやく。
そういう次第で更新が滞ってしまった。今週からは気分を一新してまた書き続けます。
本題に入る。開かれた組織ということである。
これまでも折に触れて書いてきたが、ファイターズほど外に向かって開かれた組織は珍しい。どの競技、種目を問わず、少なくとも全国のトップレベルで活動する組織は、基本的に勝利至上主義。当然、他チームの情報を入手することには懸命だが、自身の情報を公開することはほとんどない。とりわけアメフットのような戦略と戦術を駆使して勝負する競技においては、まずは「保秘」が最優先の課題になる。
ところがファイターズに関しては、その常識が当てはまらない。同じ関西学生リーグに属するチームとでも、合同練習をするし、シーズンオフに地方の大学が泊まりがけで練習に参加することも歓迎する。
シーズンオフには毎年、小野ディレクターや大村コーチらが試合のビデオを公開し、勝負の綾となったプレーの解説や、その戦術を取り入れた背景などを説明する講座も開いている。
学内から他の競技団体の部員がまとまって練習の見学に来ても、快く内情を披露するし、他競技の高校生が団体で見学に来ても、ていねいに応対する。練習の準備から進め方まで、参考になることはすべて持ち帰って下さい、そしてチームを強くして下さいというのだ。
どうして、こうしたオープンマインドなチームができたのか。
僕が出した答えは二つある。一つはフットボールという競技の魅力を広めるために、互いに切磋琢磨する環境を保証しよう、そのためには長い歴史を持ち、フットボールに関するいろんな知識を蓄えているファイターズがその知識を公開し、全体の底上げを図ろうという意図。もう一つは関西学院大学体育会の中でも、極めて優れた組織運営をしているノウハウを他の体育会メンバーにも公開することで、関西学院の課外活動のレベルアップを図ろうという目的。この二つがあって、他に類をみない「開かれた組織」が運営されているのだろう。
こうした「開かれた組織」を裏付けるのが毎年、朝日カルチャーセンターで開かれる小野ディレクターによる公開講座「フットボールの本当の魅力」。今年は8月26日午後7時から、阪急川西能勢口駅前の川西アステ6階アステホールで開かれる。今回はより広く一般の関学生にも参加してもらおうと、講師の特別な配慮により、関西学院の学生(学生証の提示が必要)を対象に「特別割引価格」が用意されている。
詳細は、下記、朝日カルチャーセンターのホームページを参考にして下さい。
https://www.asahiculture.jp/kawanishi/course/75384e9d-5946-b400-248f-5750e569c730
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