石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(14)道を開く
日本のスポーツ界には「死闘」とか「血で血を洗う決戦」「肉弾相打つ熱戦」とかいう表現がある。13日、吹田市の万博記念競技場で行われた関西大学との試合こそ、そのような表現がふさわしいと思った。
試合開始は午後3時。その時点では、その前の立命-近大戦まで降り続いていた雨が残っていたが、試合が始まると間もなく降り止む。共にパス攻撃を得意とするチームだけに、互いにほっとしたことだろう。
試合開始。その第一プレーでファイターズにビッグプレーが生まれる。相手がゴール前近くまで蹴り込んだボールをキャッチしたRB前島が一気に相手ゴール前15ヤード付近まで76ヤードもリターンしたのだ。巧みなステップで相手を交わす前島の技術と、その前を走るRB伊丹の的確なブロックが組み合わさったビッグプレーである。
ボールの位置は相手ゴール前16ヤード付近。一気にTDと攻めたい場面だったが、相手の守りは堅い。ギリギリのところでダウンの更新はならなかったが、K福井が26ヤードのFGを決めて3-0。互いに欲しかった先取点をファイターズが手にする。
しかし、相手の攻撃も鋭い。わずか5プレーでファイターズゴール前に迫り、FGを決めて3-3。互いに譲らぬ攻防が続く。
試合が動いたのは、第2Q早々。ファイターズがQB鎌田のパス、RB伊丹、池田、前島のランなどで陣地を進め、最後はゴール前5ヤード付近から前島のランでTD。とはいっても、RB任せのプレーではない。ボールを抱えた前島をOL陣がひとかたまりになって包み込み、全員で相手ゴールまで押し込んだプレーである。
ラグビーでいえば、フォワードが「モール状態」になってボールキャリアを包み込み、ラインごと相手ゴールになだれ込むプレーである。今季、スタンドからその「ひ弱さ」をたびたび指摘されてきたOL陣が奮起し、それを形にしてもぎ取った得点である。
通常の試合なら、このプレーをきっかけにファイターズがペースをつかみ、そのまま試合の主導権を握るところだが、相手は強い。QB須田からWR溝口へのパスをキーにして一挙に陣地を進め、わずか9プレーでTD。キックも決めて10-10。そのまま前半終了。
後半になっても、関大の攻勢は続く。動きの素早いQB須田と長身、俊足のレシーバー溝口を中心にぐいぐいと陣地を進める。対するファイターズも山村、永井、高橋らを中心にしたDB陣と、長身でスピードのあるショーン、怪力で相手オフェンス陣を押し込む山本を中心にしたDL陣が奮起。相手に決定的なチャンスは与えない。
一発TDの威力を秘めた相手の攻撃をなんとか食い止めているうち、ファイターズにビッグプレーが飛び出す。相手QBが一番信頼し、この試合でも長いパスをビシビシと決めていたWR溝口に投じたパスを、ファイターズの2年生DB中野がインターセプト。そのまま相手ゴールまで走り込んだのだ。時間は第3Q7分32秒。まだまだ勝敗を云々する場面ではないが、ずっと押され気味だったファイターズにとっては、まさに起死回生のプレーだった。
しかし、試合はまだ第3Qの終盤。まだまだ勝敗の行方は分からない。けれども再びリードしてからは、なぜかファイターズに好プレーが続く。特筆したいのは、キッキングチーム。攻撃が手詰まりとなり、何度も苦しい位置からのパントを強いられたが、そのことごとくをK福井が相手陣奥深くまで蹴り込み、自軍守備陣に余裕を与えた。
それに守備陣も奮起し、相手に決定的なチャンスを与えない。気がつけば試合終了までの時間が迫っている。最後はファイターズのニーダウンで試合終了。得点は17-10。終始押され続けた試合だったが、数少ない好機をすべて得点に結びつけたファイターズの、チームとしての結束力がもたらした勝利だったといえよう。
たとえ押されていても、チームとして結束し、攻守蹴が互いに助け合って取り組めば道は開ける。この日、全員で勝ち取った成果を次の立命戦につなげてもらいたい。君たちの前に道があるのではない。君たちが結束して道を開くのだ。
試合開始は午後3時。その時点では、その前の立命-近大戦まで降り続いていた雨が残っていたが、試合が始まると間もなく降り止む。共にパス攻撃を得意とするチームだけに、互いにほっとしたことだろう。
試合開始。その第一プレーでファイターズにビッグプレーが生まれる。相手がゴール前近くまで蹴り込んだボールをキャッチしたRB前島が一気に相手ゴール前15ヤード付近まで76ヤードもリターンしたのだ。巧みなステップで相手を交わす前島の技術と、その前を走るRB伊丹の的確なブロックが組み合わさったビッグプレーである。
ボールの位置は相手ゴール前16ヤード付近。一気にTDと攻めたい場面だったが、相手の守りは堅い。ギリギリのところでダウンの更新はならなかったが、K福井が26ヤードのFGを決めて3-0。互いに欲しかった先取点をファイターズが手にする。
しかし、相手の攻撃も鋭い。わずか5プレーでファイターズゴール前に迫り、FGを決めて3-3。互いに譲らぬ攻防が続く。
試合が動いたのは、第2Q早々。ファイターズがQB鎌田のパス、RB伊丹、池田、前島のランなどで陣地を進め、最後はゴール前5ヤード付近から前島のランでTD。とはいっても、RB任せのプレーではない。ボールを抱えた前島をOL陣がひとかたまりになって包み込み、全員で相手ゴールまで押し込んだプレーである。
ラグビーでいえば、フォワードが「モール状態」になってボールキャリアを包み込み、ラインごと相手ゴールになだれ込むプレーである。今季、スタンドからその「ひ弱さ」をたびたび指摘されてきたOL陣が奮起し、それを形にしてもぎ取った得点である。
通常の試合なら、このプレーをきっかけにファイターズがペースをつかみ、そのまま試合の主導権を握るところだが、相手は強い。QB須田からWR溝口へのパスをキーにして一挙に陣地を進め、わずか9プレーでTD。キックも決めて10-10。そのまま前半終了。
後半になっても、関大の攻勢は続く。動きの素早いQB須田と長身、俊足のレシーバー溝口を中心にぐいぐいと陣地を進める。対するファイターズも山村、永井、高橋らを中心にしたDB陣と、長身でスピードのあるショーン、怪力で相手オフェンス陣を押し込む山本を中心にしたDL陣が奮起。相手に決定的なチャンスは与えない。
一発TDの威力を秘めた相手の攻撃をなんとか食い止めているうち、ファイターズにビッグプレーが飛び出す。相手QBが一番信頼し、この試合でも長いパスをビシビシと決めていたWR溝口に投じたパスを、ファイターズの2年生DB中野がインターセプト。そのまま相手ゴールまで走り込んだのだ。時間は第3Q7分32秒。まだまだ勝敗を云々する場面ではないが、ずっと押され気味だったファイターズにとっては、まさに起死回生のプレーだった。
しかし、試合はまだ第3Qの終盤。まだまだ勝敗の行方は分からない。けれども再びリードしてからは、なぜかファイターズに好プレーが続く。特筆したいのは、キッキングチーム。攻撃が手詰まりとなり、何度も苦しい位置からのパントを強いられたが、そのことごとくをK福井が相手陣奥深くまで蹴り込み、自軍守備陣に余裕を与えた。
それに守備陣も奮起し、相手に決定的なチャンスを与えない。気がつけば試合終了までの時間が迫っている。最後はファイターズのニーダウンで試合終了。得点は17-10。終始押され続けた試合だったが、数少ない好機をすべて得点に結びつけたファイターズの、チームとしての結束力がもたらした勝利だったといえよう。
たとえ押されていても、チームとして結束し、攻守蹴が互いに助け合って取り組めば道は開ける。この日、全員で勝ち取った成果を次の立命戦につなげてもらいたい。君たちの前に道があるのではない。君たちが結束して道を開くのだ。
この記事は外部ブログを参照しています。すべて見るには下のリンクをクリックしてください。
記事タイトル:(14)道を開く
(ブログタイトル:石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」)
アーカイブ
- 2024年11月(2)
- 2024年10月(3)
- 2024年9月(3)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(3)
- 2024年4月(1)
- 2023年12月(3)
- 2023年11月(3)
- 2023年10月(4)
- 2023年9月(3)
- 2023年7月(1)
- 2023年6月(1)
- 2023年5月(3)
- 2023年4月(1)
- 2022年12月(2)
- 2022年11月(3)
- 2022年10月(3)
- 2022年9月(2)
- 2022年8月(1)
- 2022年7月(1)
- 2022年6月(2)
- 2022年5月(3)
- 2021年12月(3)
- 2021年11月(3)
- 2021年10月(4)
- 2021年1月(2)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(4)
- 2020年10月(4)
- 2020年9月(2)
- 2020年1月(3)
- 2019年12月(3)
- 2019年11月(3)
- 2019年10月(5)
- 2019年9月(4)
- 2019年8月(3)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(4)
- 2019年5月(4)
- 2019年4月(4)
- 2019年1月(1)
- 2018年12月(4)
- 2018年11月(4)
- 2018年10月(5)
- 2018年9月(3)
- 2018年8月(4)
- 2018年7月(2)
- 2018年6月(3)
- 2018年5月(4)
- 2018年4月(3)
- 2017年12月(3)
- 2017年11月(4)
- 2017年10月(3)
- 2017年9月(4)
- 2017年8月(4)
- 2017年7月(3)
- 2017年6月(4)
- 2017年5月(4)
- 2017年4月(4)
- 2017年1月(2)
- 2016年12月(4)
- 2016年11月(5)
- 2016年10月(3)
- 2016年9月(4)
- 2016年8月(4)
- 2016年7月(3)
- 2016年6月(2)
- 2016年5月(4)
- 2016年4月(4)
- 2015年12月(1)
- 2015年11月(4)
- 2015年10月(3)
- 2015年9月(5)
- 2015年8月(3)
- 2015年7月(5)
- 2015年6月(4)
- 2015年5月(2)
- 2015年4月(3)
- 2015年3月(3)
- 2015年1月(2)
- 2014年12月(4)
- 2014年11月(4)
- 2014年10月(4)
- 2014年9月(4)
- 2014年8月(4)
- 2014年7月(4)
- 2014年6月(4)
- 2014年5月(5)
- 2014年4月(4)
- 2014年1月(1)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(4)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(3)
- 2013年8月(3)
- 2013年7月(4)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(5)
- 2013年4月(4)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(4)
- 2012年11月(5)
- 2012年10月(4)
- 2012年9月(5)
- 2012年8月(4)
- 2012年7月(3)
- 2012年6月(3)
- 2012年5月(5)
- 2012年4月(4)
- 2012年1月(1)
- 2011年12月(5)
- 2011年11月(5)
- 2011年10月(4)
- 2011年9月(4)
- 2011年8月(3)
- 2011年7月(3)
- 2011年6月(4)
- 2011年5月(5)
- 2011年4月(4)
- 2010年12月(1)
- 2010年11月(4)
- 2010年10月(4)
- 2010年9月(4)
- 2010年8月(3)
- 2010年7月(2)
- 2010年6月(5)
- 2010年5月(3)
- 2010年4月(4)
- 2010年3月(1)
- 2009年11月(4)
- 2009年10月(4)
- 2009年9月(3)
- 2009年8月(4)
- 2009年7月(3)
- 2009年6月(4)
- 2009年5月(3)
- 2009年4月(4)
- 2009年3月(1)
- 2008年12月(1)
- 2008年11月(4)
- 2008年10月(3)
- 2008年9月(5)
- 2008年8月(2)
- 2008年4月(1)
コメント