石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(17)いざ!いざ!いざ!
今日で暑すぎた8月も終わり。自分が勝手にとったコラムの夏休みも終了である。
開けて1日、2019年ファイターズの真価が問われるシーズンが始まる。校歌にある「いざ いざ いざ 上ヶ原ふるえ」の季節到来である。
事実上、シーズン開幕前最後となる30日の練習で、興味深い場面があった。初戦を想定した「チームタイム」と呼ばれる練習の、最後のプレーが終わると同時に稲妻が光り、雷が鳴った。即座に全員が「屋根下」と呼ばれるグラウンド脇のスペースに退避する。
雷が鳴ると、即座に一番近くの建物に避難し、不測の事故を防ごうとするのがファイターズのルール。たとえ、練習終了予定時間の10分前であっても、それがはるか遠くであったとしても、雷鳴が聞こえると同時に「練習中止」「屋根下に退避」という指示があちこちから飛び、即座に安全な場所に避難し、30分近く待機することになっている。その間にまた雷鳴がとどろくと、再び待機の時間が延長され、あっという間に1時間は練習がストップしてしまう。
前日の練習中にも、そういう場面に遭遇したばかり。やっかいな雷だが、この日はちょうど「チームタイム」が終了した瞬間に鳴った。なんというタイミング。グッドタイミングというのか、ラッキーといえばいいのか。あまりにも区切りがいい。今年は何かいいことがあるのだろうか。
狭い屋根下で、練習後のハドル。鳥内監督がシーズンに向かう心得を説き、汗だくになった副将、主将がそれぞれの言葉で開幕戦に向けて檄を飛ばす。
「俺たちは挑戦者や。周囲の評価は関係ない。挑戦者であることにこだわって徹底的にやろう」「自分のやれることを全部やろう。まだまだやれることはある。突き詰めていこう」。静かに語り掛ける幹部がいれば、何度も同じ言葉を熱く繰り返す幹部もいる。しかし、語りの口調は違っても、今季の初戦に向けた強い決意はしっかりと伝わってくる。
マネジャーやトレーナーからの注意事項を含めて、こういう切羽詰まった発言を聞いていると、いよいよシーズンが始まるという実感が湧いてくる。
この夏は天候が不順で雨も多かった。暑い日も続いた。前期試験後の暑気馴化トレーニング期間も含めて、練習環境は相対的に恵まれなかった。それでも、2度にわたる学内合宿と例年より2日長くなった東鉢伏での合宿を敢行し、チームとしての地力を上げてきた。日々の練習は、時間的には短いが、その分濃密な練習を積んだ。そのせいもあってか、攻守ともにけが人も相次いだ。
一方で、新しい戦力も台頭してきた。これまでほとんど試合に出場実績のなかった3年生や2年生が何人も1軍のメンバーに名を連ね、経験豊富なメンバーとも対等に戦っている。側から見ているだけでも当たりが強くなった、走るスピードが上がったと目を見張らされる選手が何人もいる。
うれしいことに、今春、入部したばかりの1年生にも、開幕戦から登用され、活躍してくれそうな選手が何人もいる。彼らが初めての夏を乗り越えてどこまで成長してきたのか。それを実戦で確かめるのも大きな楽しみである。
チーム全体の底上げを目指し、春は数多くの選手に次々と試合経験を積ませてきたチームの方針が実りつつあるのだろう。彼らの成長曲線が秋の試合を通じて、さらに右肩上がりになるのか。格言をなぞっていえば「乞う 刮目(かつもく)して夏の成果を見よ」というところだ。
一方で、彼らにポジションを奪われてなるものか、と実績のあるメンバーがさらに奮起するのか。いまはけがでリハビリに励んでいるメンバーがどの時期から戦列に復帰してくれるのか。
そんなことを考えながら、グラウンドの練習を眺めていると、本当に選手層が厚くなったなあと実感する。帰宅後、できあがったばかりのイヤーブックを読み返し、彼らのグラウンドでの振る舞いを思い浮かべるたびに、初戦のメンバー表を予想するのが楽しみになってくる。
初戦は1日午後5時、王子スタジアムでキックオフ。「いざ いざ いざ 上ヶ原ふるえ」と声を張り上げて送り出したい。
開けて1日、2019年ファイターズの真価が問われるシーズンが始まる。校歌にある「いざ いざ いざ 上ヶ原ふるえ」の季節到来である。
事実上、シーズン開幕前最後となる30日の練習で、興味深い場面があった。初戦を想定した「チームタイム」と呼ばれる練習の、最後のプレーが終わると同時に稲妻が光り、雷が鳴った。即座に全員が「屋根下」と呼ばれるグラウンド脇のスペースに退避する。
雷が鳴ると、即座に一番近くの建物に避難し、不測の事故を防ごうとするのがファイターズのルール。たとえ、練習終了予定時間の10分前であっても、それがはるか遠くであったとしても、雷鳴が聞こえると同時に「練習中止」「屋根下に退避」という指示があちこちから飛び、即座に安全な場所に避難し、30分近く待機することになっている。その間にまた雷鳴がとどろくと、再び待機の時間が延長され、あっという間に1時間は練習がストップしてしまう。
前日の練習中にも、そういう場面に遭遇したばかり。やっかいな雷だが、この日はちょうど「チームタイム」が終了した瞬間に鳴った。なんというタイミング。グッドタイミングというのか、ラッキーといえばいいのか。あまりにも区切りがいい。今年は何かいいことがあるのだろうか。
狭い屋根下で、練習後のハドル。鳥内監督がシーズンに向かう心得を説き、汗だくになった副将、主将がそれぞれの言葉で開幕戦に向けて檄を飛ばす。
「俺たちは挑戦者や。周囲の評価は関係ない。挑戦者であることにこだわって徹底的にやろう」「自分のやれることを全部やろう。まだまだやれることはある。突き詰めていこう」。静かに語り掛ける幹部がいれば、何度も同じ言葉を熱く繰り返す幹部もいる。しかし、語りの口調は違っても、今季の初戦に向けた強い決意はしっかりと伝わってくる。
マネジャーやトレーナーからの注意事項を含めて、こういう切羽詰まった発言を聞いていると、いよいよシーズンが始まるという実感が湧いてくる。
この夏は天候が不順で雨も多かった。暑い日も続いた。前期試験後の暑気馴化トレーニング期間も含めて、練習環境は相対的に恵まれなかった。それでも、2度にわたる学内合宿と例年より2日長くなった東鉢伏での合宿を敢行し、チームとしての地力を上げてきた。日々の練習は、時間的には短いが、その分濃密な練習を積んだ。そのせいもあってか、攻守ともにけが人も相次いだ。
一方で、新しい戦力も台頭してきた。これまでほとんど試合に出場実績のなかった3年生や2年生が何人も1軍のメンバーに名を連ね、経験豊富なメンバーとも対等に戦っている。側から見ているだけでも当たりが強くなった、走るスピードが上がったと目を見張らされる選手が何人もいる。
うれしいことに、今春、入部したばかりの1年生にも、開幕戦から登用され、活躍してくれそうな選手が何人もいる。彼らが初めての夏を乗り越えてどこまで成長してきたのか。それを実戦で確かめるのも大きな楽しみである。
チーム全体の底上げを目指し、春は数多くの選手に次々と試合経験を積ませてきたチームの方針が実りつつあるのだろう。彼らの成長曲線が秋の試合を通じて、さらに右肩上がりになるのか。格言をなぞっていえば「乞う 刮目(かつもく)して夏の成果を見よ」というところだ。
一方で、彼らにポジションを奪われてなるものか、と実績のあるメンバーがさらに奮起するのか。いまはけがでリハビリに励んでいるメンバーがどの時期から戦列に復帰してくれるのか。
そんなことを考えながら、グラウンドの練習を眺めていると、本当に選手層が厚くなったなあと実感する。帰宅後、できあがったばかりのイヤーブックを読み返し、彼らのグラウンドでの振る舞いを思い浮かべるたびに、初戦のメンバー表を予想するのが楽しみになってくる。
初戦は1日午後5時、王子スタジアムでキックオフ。「いざ いざ いざ 上ヶ原ふるえ」と声を張り上げて送り出したい。
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