石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(15)いきなり学内合宿
雨続きの梅雨が明けた瞬間、連日、熱射病になりそうな天気が続いている。体調維持のために、毎日、1万歩以上の速歩を自分に義務付けている僕にとっては、この暑さはけっこう厳しい。
幸い、僕の働いている和歌山県田辺市の海沿いは、海からの風が通り、朝夕はそれなりに涼しく、夜の散歩も支障なくできる。しかし、週末、西宮に帰ると、そうはいかない。日中はもちろん、朝夕もとんでもなく暑い。ほんの15分も歩けば、汗が噴き出すし、のども渇く。太陽のある方向を常に確認し、日陰から日陰を伝うようなコースを選ばなければならない。それも、日陰があればオーケーとはならない。場所によっては風が通らず、蒸し風呂のような道路もあるから注意が必要だ。もちろん、歩道を走る自転車にも、常に注意しなければならない。
たかが年寄りの散歩コースでさえ、ここまで考えなければならない。同じ西宮で夏季練習に励んでいるファイターズの諸君は、この時季の練習をどんな風に工夫しているのか。どのように熱中症から身を守っているのか。
今回は、7月31日から本格的に始まった夏季練習の一端を報告しよう。ファイターズの合理的な発想を知るための一助としていただければ幸いである。
・夏季練習は前期試験が終わり、大学が夏季休暇に入った7月31日から始まる学内合宿からスタートする。この合宿は、途中に設けた1日の休養日を挟んで、2泊3日の日程で2度行われる。合宿では朝食前にグラウンドに集合し、午前7時から8時過ぎまで練習に取り組む。練習前には、アスリートパンとフルーツジュースを摂り、練習中には2度の休憩時間を設ける。
・8時過ぎに朝練を切り上げ、8時半ごろから朝食。その後、いくつかの班に分かれて交互にミーティングと仮眠。昼食を摂った後も、仮眠班と筋トレ班、ミーティング班に分かれてそれぞれの課題に取り組む。
・夕方はグラウンドの気温と湿度を計測した上で、その数値が基準内に下がっておれば午後5時から、そうでなければ午後6時からグラウンドで練習。夕方もまた1時間少々で練習(途中短い休憩時間を2度設けている)を切り上げ、その後は夕食とミーティング。
こんな日程で2度に渡る2泊3日の合宿を続け、その後1日、休養日を設けた後、今度は鉢伏山の長い合宿に向かう。
どうしてこのような短い練習時間しか設けないのに2度も学内での合宿をするのか。高校でも、夏休みには朝の9時過ぎに登校し(途中、筋力トレーニングなどの時間は設けていても)、夕方の8時過ぎまではグラウンドで練習というチームが少なくないというのに、大学のてっぺんを目指し、社会人とも渡り合おうとするチームがこんなに短い練習で成果が上がるのだろうか。そうした疑問を持つ人も少なくないはずだ。
けれども、ここにファイターズの合理性というか工夫があるのだ。
具体的にいえば、自宅通学者の往復に要する時間を省き、その時間をミーティングや筋トレ、仮眠の時間に充てる。炎天下の練習を避け、代わりに適度な睡眠・休養をとらせる。栄養バランスのとれた食事を全員に摂らせ、それが体に吸収される時間を確保する。グラウンドでの練習時間を短くしているのは、練習のための練習をだらだらと続けるのではなく、実戦を想定し、一つ一つのプレーに集中して取り組むためともいう。
多少、プログラムに違いはあっても、近年、この時季にこうした取り組みを続けているのがファイターズである。全員が高い目的意識を持ち、短時間であっても、密度の濃い練習に集中的に取り組む。そのビデオを即座にチェックし、一つ一つのプレーについて問題点、反省点を明らかにし、プレーの精度を上げていく。そうした取り組みのために十分な時間を注ぎ込む。これはというプレーは夏合宿で完成させて実戦での武器とする。そのためには、この時期、時間はいくらあっても足りない。とりあえず大学と自宅を往復する時間だけでも有効に使いたいというのが、この時期、2度も連続して行われる学内合宿の目的となるのである。
なんだか、理屈っぽい話になったが、要は「根性出せ」「死ぬ気で頑張れ」と気合いを入れるだけではなく、選手として、チームとして最高のパフォーマンスができるようにするためには何が必要か、それを身に付けるためにどうするか。そういったことを、コーチはもちろん、上級生もスタッフもトコトン突き詰めて考え、実戦に生かすための工夫をしているのが、この時期のファイターズである。大いなる成果を期待したい。
幸い、僕の働いている和歌山県田辺市の海沿いは、海からの風が通り、朝夕はそれなりに涼しく、夜の散歩も支障なくできる。しかし、週末、西宮に帰ると、そうはいかない。日中はもちろん、朝夕もとんでもなく暑い。ほんの15分も歩けば、汗が噴き出すし、のども渇く。太陽のある方向を常に確認し、日陰から日陰を伝うようなコースを選ばなければならない。それも、日陰があればオーケーとはならない。場所によっては風が通らず、蒸し風呂のような道路もあるから注意が必要だ。もちろん、歩道を走る自転車にも、常に注意しなければならない。
たかが年寄りの散歩コースでさえ、ここまで考えなければならない。同じ西宮で夏季練習に励んでいるファイターズの諸君は、この時季の練習をどんな風に工夫しているのか。どのように熱中症から身を守っているのか。
今回は、7月31日から本格的に始まった夏季練習の一端を報告しよう。ファイターズの合理的な発想を知るための一助としていただければ幸いである。
・夏季練習は前期試験が終わり、大学が夏季休暇に入った7月31日から始まる学内合宿からスタートする。この合宿は、途中に設けた1日の休養日を挟んで、2泊3日の日程で2度行われる。合宿では朝食前にグラウンドに集合し、午前7時から8時過ぎまで練習に取り組む。練習前には、アスリートパンとフルーツジュースを摂り、練習中には2度の休憩時間を設ける。
・8時過ぎに朝練を切り上げ、8時半ごろから朝食。その後、いくつかの班に分かれて交互にミーティングと仮眠。昼食を摂った後も、仮眠班と筋トレ班、ミーティング班に分かれてそれぞれの課題に取り組む。
・夕方はグラウンドの気温と湿度を計測した上で、その数値が基準内に下がっておれば午後5時から、そうでなければ午後6時からグラウンドで練習。夕方もまた1時間少々で練習(途中短い休憩時間を2度設けている)を切り上げ、その後は夕食とミーティング。
こんな日程で2度に渡る2泊3日の合宿を続け、その後1日、休養日を設けた後、今度は鉢伏山の長い合宿に向かう。
どうしてこのような短い練習時間しか設けないのに2度も学内での合宿をするのか。高校でも、夏休みには朝の9時過ぎに登校し(途中、筋力トレーニングなどの時間は設けていても)、夕方の8時過ぎまではグラウンドで練習というチームが少なくないというのに、大学のてっぺんを目指し、社会人とも渡り合おうとするチームがこんなに短い練習で成果が上がるのだろうか。そうした疑問を持つ人も少なくないはずだ。
けれども、ここにファイターズの合理性というか工夫があるのだ。
具体的にいえば、自宅通学者の往復に要する時間を省き、その時間をミーティングや筋トレ、仮眠の時間に充てる。炎天下の練習を避け、代わりに適度な睡眠・休養をとらせる。栄養バランスのとれた食事を全員に摂らせ、それが体に吸収される時間を確保する。グラウンドでの練習時間を短くしているのは、練習のための練習をだらだらと続けるのではなく、実戦を想定し、一つ一つのプレーに集中して取り組むためともいう。
多少、プログラムに違いはあっても、近年、この時季にこうした取り組みを続けているのがファイターズである。全員が高い目的意識を持ち、短時間であっても、密度の濃い練習に集中的に取り組む。そのビデオを即座にチェックし、一つ一つのプレーについて問題点、反省点を明らかにし、プレーの精度を上げていく。そうした取り組みのために十分な時間を注ぎ込む。これはというプレーは夏合宿で完成させて実戦での武器とする。そのためには、この時期、時間はいくらあっても足りない。とりあえず大学と自宅を往復する時間だけでも有効に使いたいというのが、この時期、2度も連続して行われる学内合宿の目的となるのである。
なんだか、理屈っぽい話になったが、要は「根性出せ」「死ぬ気で頑張れ」と気合いを入れるだけではなく、選手として、チームとして最高のパフォーマンスができるようにするためには何が必要か、それを身に付けるためにどうするか。そういったことを、コーチはもちろん、上級生もスタッフもトコトン突き詰めて考え、実戦に生かすための工夫をしているのが、この時期のファイターズである。大いなる成果を期待したい。
この記事は外部ブログを参照しています。すべて見るには下のリンクをクリックしてください。
記事タイトル:(15)いきなり学内合宿
(ブログタイトル:石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」)
アーカイブ
- 2024年11月(2)
- 2024年10月(3)
- 2024年9月(3)
- 2024年6月(2)
- 2024年5月(3)
- 2024年4月(1)
- 2023年12月(3)
- 2023年11月(3)
- 2023年10月(4)
- 2023年9月(3)
- 2023年7月(1)
- 2023年6月(1)
- 2023年5月(3)
- 2023年4月(1)
- 2022年12月(2)
- 2022年11月(3)
- 2022年10月(3)
- 2022年9月(2)
- 2022年8月(1)
- 2022年7月(1)
- 2022年6月(2)
- 2022年5月(3)
- 2021年12月(3)
- 2021年11月(3)
- 2021年10月(4)
- 2021年1月(2)
- 2020年12月(3)
- 2020年11月(4)
- 2020年10月(4)
- 2020年9月(2)
- 2020年1月(3)
- 2019年12月(3)
- 2019年11月(3)
- 2019年10月(5)
- 2019年9月(4)
- 2019年8月(3)
- 2019年7月(2)
- 2019年6月(4)
- 2019年5月(4)
- 2019年4月(4)
- 2019年1月(1)
- 2018年12月(4)
- 2018年11月(4)
- 2018年10月(5)
- 2018年9月(3)
- 2018年8月(4)
- 2018年7月(2)
- 2018年6月(3)
- 2018年5月(4)
- 2018年4月(3)
- 2017年12月(3)
- 2017年11月(4)
- 2017年10月(3)
- 2017年9月(4)
- 2017年8月(4)
- 2017年7月(3)
- 2017年6月(4)
- 2017年5月(4)
- 2017年4月(4)
- 2017年1月(2)
- 2016年12月(4)
- 2016年11月(5)
- 2016年10月(3)
- 2016年9月(4)
- 2016年8月(4)
- 2016年7月(3)
- 2016年6月(2)
- 2016年5月(4)
- 2016年4月(4)
- 2015年12月(1)
- 2015年11月(4)
- 2015年10月(3)
- 2015年9月(5)
- 2015年8月(3)
- 2015年7月(5)
- 2015年6月(4)
- 2015年5月(2)
- 2015年4月(3)
- 2015年3月(3)
- 2015年1月(2)
- 2014年12月(4)
- 2014年11月(4)
- 2014年10月(4)
- 2014年9月(4)
- 2014年8月(4)
- 2014年7月(4)
- 2014年6月(4)
- 2014年5月(5)
- 2014年4月(4)
- 2014年1月(1)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(4)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(3)
- 2013年8月(3)
- 2013年7月(4)
- 2013年6月(4)
- 2013年5月(5)
- 2013年4月(4)
- 2013年1月(1)
- 2012年12月(4)
- 2012年11月(5)
- 2012年10月(4)
- 2012年9月(5)
- 2012年8月(4)
- 2012年7月(3)
- 2012年6月(3)
- 2012年5月(5)
- 2012年4月(4)
- 2012年1月(1)
- 2011年12月(5)
- 2011年11月(5)
- 2011年10月(4)
- 2011年9月(4)
- 2011年8月(3)
- 2011年7月(3)
- 2011年6月(4)
- 2011年5月(5)
- 2011年4月(4)
- 2010年12月(1)
- 2010年11月(4)
- 2010年10月(4)
- 2010年9月(4)
- 2010年8月(3)
- 2010年7月(2)
- 2010年6月(5)
- 2010年5月(3)
- 2010年4月(4)
- 2010年3月(1)
- 2009年11月(4)
- 2009年10月(4)
- 2009年9月(3)
- 2009年8月(4)
- 2009年7月(3)
- 2009年6月(4)
- 2009年5月(3)
- 2009年4月(4)
- 2009年3月(1)
- 2008年12月(1)
- 2008年11月(4)
- 2008年10月(3)
- 2008年9月(5)
- 2008年8月(2)
- 2008年4月(1)
コメント