石井晃のKGファイターズコラム「スタンドから」
(29)決戦の月曜日
いよいよ決戦の日がきた。ときは2009年11月23日。舞台は長居陸上競技場。昨年は圧倒された立命館に、雪辱を期してファイターズの面々が立ちふさがる。
いつもの年なら、最高に盛り上がる試合である。しかし今年は、両軍とも関大に苦杯を喫し、自力優勝の目は絶たれている。関大が残る甲南戦に敗れない限り、この10年間、関西のいや日本学生フットボール界の覇権を争ってきた両軍の宿命の戦いが、2位争いになってしまうのである。
それを寂しいと思われるファンは少なくないだろう。打ち明ければ、僕もそのひとりである。
けれども、戦うチームにとっては、そんなことはまったく関係ない。「立命に勝って日本1」を目標に掲げ、この1年間、懸命に努力してきた選手たちから見れば、ようやく目標のチームと戦える機会が巡ってきたということである。全力を尽くし、完全燃焼して、自らの選手生活に刻印を刻んでほしい。
先週末は、木曜日から日曜日まで、それぞれ短い時間ではあるが、上ケ原の第3フィールドに出掛け、練習を見ることができた。さすがに空気は張りつめている。
例年のことだが、入口には「部外者の見学お断り」の張り紙があり、1年生部員が来場者をチェックしている。練習の進行を仕切るマネジャーの声は枯れているし、トレーナーの走るスピードも上がっている。攻守とも、立命館チームを想定した選手は、マルーン色のユニフォームを着けてプレーをしている。ハドルの集散も目に見えて早くなってきた。
素人目に見ても、攻撃に立命戦用の新しいプレーが含まれていることが見て取れる。その一つひとつのプレーを1年がかりで練習し、精度を上げてきたチームの努力に思いを馳せる。
いくらとっておきのプレーでも、使える状況が出現しなければ宝の持ち腐れ。試合で使って経験値を上げようと思っても、ベールを脱いでしまったら、戦術としての価値は落ちてしまう。一方では、ベーシックなプレーや体力づくりも同時並行で進めなければならない。
ライバルチームも、そういう難しい条件を克服しながら、それぞれのチームの特徴を生かしたプレーを磨いているはずだ。たとえ、試合で使えるのは一部であっても、それぞれのチームが彼我の力関係を想定して、いくつもの特別のプレーを作り上げてくるから、アメフットは楽しい。奥が深い。
もちろん、基本は真っ向からのぶつかり合いだ。火花の散るようなタックルを浴びせ、相手を圧倒する魅力に勝るものはない。それがあるから、ピンポイントのパスも、相手の守りをギリギリでかわして突っ走るランプレーも、さらに光ってくる。そういうプレーの応酬があって初めて、特別なプレーの出番が回ってくるのである。
言い換えれば、ファイターズが開発してきたプレーも、それを披露できる条件ができあがってこそ、威力を発揮する。そのためにこそ、日ごろからベーシックなプレーを繰り返し繰り返し練習し、精度を上げてきたのである。
そういう努力を全開でぶつけられるのが立命戦である。そういうギリギリの戦いを毎年毎年、営々と繰り広げてきたからこそ、ライバルがライバルとして存在してきたのである。相手に敬意を持って戦うことができたのである。
少なくとも、この10年余、ファイターズにとって、立命館は特別のチームである。ただ目の前に立ちふさがる壁というだけではなく、全知全能を駆使して戦うにふさわしい相手である。それは、毎年のように1プレーで勝敗が左右されるという試合内容が表し、得点差が示している。
自力優勝の目がなくなったという悔しい状況ではあるが、選手にとっては、特別の思いを持って臨むべき試合である。存分に戦ってほしい。思い残すことなく諸君のすべてをぶつけてほしい。その果てにアメフットの神様が見えてくるだろう。
いつもの年なら、最高に盛り上がる試合である。しかし今年は、両軍とも関大に苦杯を喫し、自力優勝の目は絶たれている。関大が残る甲南戦に敗れない限り、この10年間、関西のいや日本学生フットボール界の覇権を争ってきた両軍の宿命の戦いが、2位争いになってしまうのである。
それを寂しいと思われるファンは少なくないだろう。打ち明ければ、僕もそのひとりである。
けれども、戦うチームにとっては、そんなことはまったく関係ない。「立命に勝って日本1」を目標に掲げ、この1年間、懸命に努力してきた選手たちから見れば、ようやく目標のチームと戦える機会が巡ってきたということである。全力を尽くし、完全燃焼して、自らの選手生活に刻印を刻んでほしい。
先週末は、木曜日から日曜日まで、それぞれ短い時間ではあるが、上ケ原の第3フィールドに出掛け、練習を見ることができた。さすがに空気は張りつめている。
例年のことだが、入口には「部外者の見学お断り」の張り紙があり、1年生部員が来場者をチェックしている。練習の進行を仕切るマネジャーの声は枯れているし、トレーナーの走るスピードも上がっている。攻守とも、立命館チームを想定した選手は、マルーン色のユニフォームを着けてプレーをしている。ハドルの集散も目に見えて早くなってきた。
素人目に見ても、攻撃に立命戦用の新しいプレーが含まれていることが見て取れる。その一つひとつのプレーを1年がかりで練習し、精度を上げてきたチームの努力に思いを馳せる。
いくらとっておきのプレーでも、使える状況が出現しなければ宝の持ち腐れ。試合で使って経験値を上げようと思っても、ベールを脱いでしまったら、戦術としての価値は落ちてしまう。一方では、ベーシックなプレーや体力づくりも同時並行で進めなければならない。
ライバルチームも、そういう難しい条件を克服しながら、それぞれのチームの特徴を生かしたプレーを磨いているはずだ。たとえ、試合で使えるのは一部であっても、それぞれのチームが彼我の力関係を想定して、いくつもの特別のプレーを作り上げてくるから、アメフットは楽しい。奥が深い。
もちろん、基本は真っ向からのぶつかり合いだ。火花の散るようなタックルを浴びせ、相手を圧倒する魅力に勝るものはない。それがあるから、ピンポイントのパスも、相手の守りをギリギリでかわして突っ走るランプレーも、さらに光ってくる。そういうプレーの応酬があって初めて、特別なプレーの出番が回ってくるのである。
言い換えれば、ファイターズが開発してきたプレーも、それを披露できる条件ができあがってこそ、威力を発揮する。そのためにこそ、日ごろからベーシックなプレーを繰り返し繰り返し練習し、精度を上げてきたのである。
そういう努力を全開でぶつけられるのが立命戦である。そういうギリギリの戦いを毎年毎年、営々と繰り広げてきたからこそ、ライバルがライバルとして存在してきたのである。相手に敬意を持って戦うことができたのである。
少なくとも、この10年余、ファイターズにとって、立命館は特別のチームである。ただ目の前に立ちふさがる壁というだけではなく、全知全能を駆使して戦うにふさわしい相手である。それは、毎年のように1プレーで勝敗が左右されるという試合内容が表し、得点差が示している。
自力優勝の目がなくなったという悔しい状況ではあるが、選手にとっては、特別の思いを持って臨むべき試合である。存分に戦ってほしい。思い残すことなく諸君のすべてをぶつけてほしい。その果てにアメフットの神様が見えてくるだろう。
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